こんにちは、日本ニュートリション協会です。
今回も最新の海外論文から、興味深いものをご紹介します。
栄養学領域の国際学術誌「Nutrients」に、日本の食品メーカーと米国スタンフォード大学が共同で行った睡眠サポートサプリメントの研究論文が掲載されました。
研究班は日本国内でも入手可能な4つの睡眠サポートサプリメント成分を用いて、「起床時の眠気」や「寝つきの悪さ」「頻繁に夢を見る」などの睡眠トラブルを抱える健康な成人を対象とした介入試験を行ない、睡眠障害の改善を報告しています。
睡眠トラブルの背景には生活習慣や食生活などの影響もあり、大変複雑な要素を考慮する必要があります。研究班は「一人ひとりに合ったサプリメント設計が重要である」と指摘しています。
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No.756 睡眠サポートサプリメントと生活・食習慣の関係性
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<和訳論文>
睡眠サポートサプリメントが、生活習慣、睡眠状態、睡眠障害に与える影響に関する分析
<抄録>
睡眠は健康の重要な要素であり、不眠症は生活習慣関連のトラブルのなかでも最も一般的で厄介なものの一つです。睡眠サポートサプリメントは睡眠を改善する可能性がありますが、利用可能な選択肢が多岐に渡り、効果が個人によって異なるため、どのサプリメントを選んで利用すべきか困難な場合があります。
本研究ではサプリメントの効果を推定する新たな基準を明らかにするために、「サプリメント」「事前条件(サプリメント摂取前の生活習慣や睡眠状態)」「サプリメント摂取前の被験者の睡眠障害」の関係を検討しました。
各サプリメントの有効性、およびサプリメントと事前条件や睡眠障害の関係を検証するため、オープンでランダム化された160人の被験者を登録したクロスオーバー介入試験を実施しました。この目的のために被験者に投与したのは、以下4つのサプリメント成分です。
・L-テアニン(200mg/日)
・γ-アミノ酪酸(GABA)(111.1mg/日)
・ラフマ葉抽出物(AVLE)(50mg/日)
・L-セリン(300mg/日)
最初の介入期間の前に、各被験者の事前条件を特定するために生活習慣と睡眠状態を調査しました。サプリメントと睡眠トラブルの組み合わせごとに、サプリメントによって睡眠障害が改善された被験者と改善されなかった被験者の間で事前条件が比較されました。
テストされた全てのサプリメントは、睡眠障害を大幅に改善することがわかりました。また、改善された被験者に特有の事前条件は、サプリメントと睡眠障害に応じて異なることが判明しました。
さらに乳製品を摂取した被験者は、試験したすべてのサプリメントにおいて睡眠障害の改善を示すことがよくありました。
本研究は、サプリメントのすでに知られている有効性に加えて、個人の生活習慣や睡眠状態、睡眠障害に基づいて、睡眠サポートサプリメントを個別化する可能性を示唆しています。
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この研究では「野菜をよく食べる人にはGABA」「入浴頻度が高い人にはL-セリン」「よく運動する人にはL-テアニン」などの、より効果的な組み合わせも見られました。
日本では医薬品に該当することもあり、この研究では使用されていないようですが、アメリカでは質の良い睡眠や体内時計の調整にメラトニンサプリメントが活用されており、錠剤やカプセルのみならずグミやスプレー、子供向け、アスリート向けなどさまざまなタイプが販売されています。